元ベンチャーの経営経験のあるフリーランスが貞観政要を読んだ感想をまとめました
「千年以上前から語り継がれてる人間の本質の話」なので個人的には凄い勉強になりました。読むかどうか迷ってる方は、是非参考にして頂ければ幸いです。
この記事の目次
貞観政要との出会い
秋は読書の秋やら食欲の秋やら色んな秋がありますが、世間に流されやすい僕は秋になると食欲も読書量も1.5倍になります。
そんな感じで(どんな感じだ)
「最近なにか面白い本がないかなー」と思っていた2021年秋のとある日、こんなツイートがタイムラインに流れてきました。
ほうほう、帝王学の最高傑作とな。
元々実家に横山光輝の三国志が置いてあったことから、中国の歴史が好きな部類だったんですよね。
(入りは横山光輝三国志で、北方謙三の水滸伝とかも大好きだった)
で、話を見てみるに「貞観政要」という帝王学の本があるとのこと。
既に組織から引退している身ですが、元々はベンチャーで経営していたことも有りリーダー論とか組織論は興味のストライクゾーンに入っております。流されるがままにあっちゃんの動画を見てみました。
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うん、動画面白すぎた。
これは本も読むしかねぇ。
そう思ってささっとAmazonで貞観政要を購入し読んでみました。
そして読んだ結果。人生の反省のオンパレードをすることになりました。
リーダーや人をまとめたりする立場の人は必見の本だと思います。感想は下記に記載していきます。
貞観政要とはどんな本?
ざっくり話せば中国の皇帝が残した「リーダーとはなにを考えるべきか?」をまとめた本となります。
中国は国の入れ替わりが激しく、
殷・周・秦・漢・隋・唐・宋・元・明・清・中華民国・中華人民共和国
と軽く調べただけども12もの国の名前の変化があるんですが
その中でも「唐」という300年間の歴史を築いた国があるんですよね。
貞観政要はその唐の皇帝である李世民が、中華統一を果たした後に。
「今までこんなに国の滅亡と繁栄を繰り返してるのはおかしい。過去の歴史から見て、どうやったら国が長く繁栄するのか、私だけじゃなく家臣もガチで考えようぜ。そして私と家臣とのやり取りも全て本に残しておこうぜ」
という流れから生まれた本になります。
日本だと江戸時代を作り上げた徳川家康もこの本を読み、大いに参考にしたらしいです(あっちゃんの動画知識)
今回僕が読んだ本はこちらですが、貞観政要自体は様々な形式で本として出されているみたいです。
貞観政要の形式と感想
で、実際貞観政要ってどんな感じで書かれてるの?というところですが、もちろん本来の原文は漢文だと思われます。
しかし、今回読んだ本に関しては最初に要約が出てきて、次に原文。その後に解説。という流れで全部で48項目に関して記されています。(原本の貞観政要にはもっと数多くの記載があるらしい)
基本的な流れとして皇帝である李世民が「最近、こういう事があったけど、どうなの?」と話して家臣が「それはこういうことでございます」と話す。みたいなエピソードトークで話が展開されてます。
今で言うビジネス書との大きな違いは「著者の意見や伝えたいことが強く主張されている本ではない」点です。
「実際にこのようなやり取りがあった」と史実だけが残されているので、その出来事からなにを教訓とするのか?は読者に委ねられている要素が強いです。
変に上から「これを読んだ読者はこうあるべきだ!!」みたいな話がないので、個人的にすごい読みやすいなと思いました。
貞観政要で印象に残ったエピソード3選
ここからは実際に僕が貞観政要を読んで、印象に残ったエピソードを3つほどご紹介します。他にも心に刺さりまくる部分が多いのですが、特にこの3つは脳髄に刺激が走った!!というものをご紹介しますね。
リーダーを諌めない幹部は給料泥棒
貞観十五年、体操が魏徴に問うて言われた。「このごろ朝廷の臣下たちがみな政事について意見を言わないのはどうしてか」。魏徴がお答えして言った。「陛下は心を虚しくして[臣下の意見を]聞き入れて下さいます。誠に意見を言うものがあってしかるべきです。しかしながら、古人が言っています。『まだ信用されていないのに諫めれば、自分の悪口を言っていると思われます。もし信用されているのに諌めなければ、それは給料泥棒と言います』。ただ人の才能や器は、それぞれ異なります。勇気がなく気弱な人は、忠直の心をいだきながら言うことができません、疎遠の人は信用されてないのではないかと恐れて言うことができません。職のことを思う人は、その職を失うのではないかと考えて、言おうとしません。これが、たがいに口を閉ざして周囲に同調し、その日その日を過ごしている理由です」。
貞観政要 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 諫靜の難しさより
「信用されているのに諌めなければ、それは給料泥棒といいます」
個人的にはこの一文が貞観政要で最も刺さった部分です。
かつてベンチャー企業に居て、組織の重要なポジションに居てトップを諌められなかった経験があります。その時の言い訳は沢山思いつくのですがそれでも自分はもっと言うべきことがあったし伝えられることは合ったなぁと。
もちろん自分なりのベストを尽くした自負はあります、何度も伝えるべきと思ったことは伝えてきて、結果的に伝えないほうがいいと考えた理由もあります。
ただ、それでも言うべきことは言うべきだった。
そんな昔のことを思い出しましたし、今も多少なり組織やコミュニティの運営に関わる立場だからこそ、自分が伝えるべきことは関わる人には伝えようと強く思えた内容でした。
愚者は過去から学び、賢者は歴史から学ぶ
かつて馬車が主な輸送や移動手段だったとき、舗装のされていない上の道には車輪の跡ができ、それを「轍」と言いました。後から続く人が、その轍をそのまま進んでいくことを、「前轍を踏む」あるいは「前車の轍を踏む」と呼び、前の人が犯した過ちを同じ様に繰り返す、という意味に使います。
貞観政要 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 前轍を踏むな
では、唐の太宗たちにとって、その「前轍」とはなんだったのでしょうか。
貞観政要では、唐の前に中華統一をしてすぐ滅びることとなった、「秦」「隋」が失敗の代表格としてあげられています。太宗(李世民)はこの過去の失敗の歴史から「同じことをしない」と決断している描写が描かれているのですが、この「歴史から学ぶ姿勢」は大いに参考にするところだと感じました。
「愚者は過去から学び、賢者は歴史から学ぶ」と言う言葉があります。
自分自身も30になり、それなりに経験を積んできたつもりになりました。過去の失敗も多く経験し、失敗から学んだことがあるといえるようにもなりました。
だけども、その失敗は「本当にやるべき失敗だったのか?」
歴史を学んでいたらもっと失敗を回避しようとしてできたことが合ったんじゃないのか??その上で重ねた失敗こそ、自分の血肉となる失敗となりえたんじゃないのか?
とこの貞観政要を読んで思わされた部分です。
現在のビジネス書の多くは「失敗」よりも「成功談」や「成功ケース」を記載されていることが多いです。実際それも非常に大切な情報ではあるのですが。
もっと歴史的に学べるような、それこそ自分のような凡人がやらかしてしまった失敗。みたいな歴史を学ぶことのほうが自分にとっては大切かもしれないな。と思えました。
立場が有りながら口を紡ぐのは罪とも言える
杜如晦がお答えして言った。「天使に諍臣(諫める臣下)がいれば、たとえ無道の天子であっても、天下を失うことはないだろう[と『孝経』にあります]。
貞観政要 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 虞世基は煬帝と死ぬべきだった
〜中略〜
虞世基は、どうして、煬帝が無道だからといって、諫靜をしなくてよいということがありましょうか。
〜中略〜
虞世基は、宰相の地位にいて、諫言できる立場にありながら、ついに一言の諫靜もしなかったのです。誠に当然のことながら[煬帝と]一緒に死ぬべきだったのです。
これも先程の「諌めなければ給料泥棒」と同じ部分ですね。貞観政要にはこんな感じで「諫言」の重要性と、その諫言を聞き入れる重要性が重点的に記されてます(今回読んだ本にはです)
組織においてカリスマ性のあるリーダーに対して物事を言えない部下は多いと思います。
これはトップが悪い、部下が悪いとかそういう話じゃなくて、カリスマ性のあるリーダーの組織運営上、下の人外見をしづらくなる環境が作られやすい。という性質の話です。
(特にリーダーが有能な人ほど率直に意見を言えない人や頭が回らない人の気持への配慮が回しきれずに、きつい言葉になったり上手く話せる環境が作りづらくなることは多いんですよね。)
ただ、その中でつたえるべきことを伝えない補佐役の人がいたとしたら、その人は大罪を犯している。といえるし、その諫言を聞き入れない、もしくは諫言を伝え辛い環境を作ってしまっているリーダーもある意味大罪の協力者と言えます。
どっちが悪い、どっちに責任がある。とは言えません。
互いに言いたいことをちゃんと言えるような環境構築に歩みだすこと。凄い当たり前の話ですがこれが本当に難しくも有り、本当に組織運営に置いては大事なことなんだと痛感せざるを得ないです。
貞観政要を読んで貰った口コミをまとめてみた
そして、今回貞観政要を知人に読んでもらった感想をまとめてみました。
知人A(行動力溢れる22歳)の感想
- 現代版にわかりやすく訳されたものでも、特に後半になるにつれて難しく感じましたが、リーダーとしての在り方をとても明快に学ぶことができました!自分を叱ってくれる部下を重宝したり、天才すらも自らの日頃の自分の行いのせいにする姿勢などが特に印象に残っています。
ここに書いてあることが大昔に書かれたものとは思えないほど、現代に通じることばかりで、人間の悩みって本当に変わらないんだなとおもいました笑
知人B(知り合いのフリーランス)の感想
- こういう古典的な本を読むのは始めてだったので最初抵抗がありましたが、読めば読むほどに引き込まれました。歴史上の皇帝と呼ばれる人でも現在の社長と共通する悩みが合ったと知ることで、歴史にも興味が持てる良書だと思います。
知人C(会社経営者)の感想
- めっちゃ面白かった!!これ社員にも読ませたいと思う!凄く参考になった!
知人D(動画クリエイター件コミュニティ運営者)の感想
- 読んでる最中に国作れそうと錯覚するくらいすごい内容でしたw
普通にビジネスにもめちゃくちゃ応用できますね!
貞観政要がおすすめの人
そんなわけで今回の結論ですが。
この貞観政要は経営者の方は必見の書籍でした。
人によってバイブルになり得ます。
経営者じゃなくとも人をまとめたりする立場の人は確実に読んだほうがためになるなと。やっぱりね歴史は強いです。史実は嘘をつかないのでここから学べることが無数にあります。
また、途中でも話したとおりで
「愚者は過去から学び、賢者は歴史から学ぶ」
という言葉が今回個人的に刺さりました。
確かに今まで色んな経験をしてきて、人が離れてしまったり、うまく行かなくなってしまったりなどの多くの失敗をしてきました。
これらの失敗は確かに自分の中に糧にはなっているのだけども、もし同じような失敗をしている人のエピソードを見たり勉強していたりして、気をつけていたら、その失敗をせずとも経験を詰めたのかも知れない。とこの本を読んで強く思えました。
仮に勉強していてもやらかしてしまった失敗ならば、本当に必要な失敗だと思いますし、なおさら自分も反省するはず。
何事も経験。とはいいますが、この言葉を免罪符にして歴史の勉強をしなかったのは大きな機会損失に繋がっているかも知れない。と強く危機感を抱けました。
凡人の経営者の方の伝記とか、過去の歴史とかそういう本をまた読み直してみたいなぁと。(そういう系統で良い本がありましたらTwitterとかで教えてもらえると嬉しいです。)
いきなり読む!っていうのはハードルが高いかもしれない、まずはあっちゃんの動画を見た上で必要かを判断していただくのが良いですね。
貞観政要。本当にいい本でした。